2018年5月10日 伊達市に要請書提出

5月10日(木)、伊達市役所にて、「モニタリングポストの継続配置を求める市民の会・伊達」のみなさんによる、伊達市長への要請書の提出が行われました。共同代表の西村沙織さんは、小さなお子さんをおんぶして、須田市長への要請書を読み上げました。
要請書の内容は、「伊達市においても、この件については多くの市民が継続配置を求める声をあげている」「市民の暮らしを守るため、他自治体・県と一丸となって国に対して強い姿勢を持って権利を訴えてほしい」というもので、西村さんは多くの市民の声を代弁し、子どもを育てる母親としての思いを市長に伝えました。
画像に含まれている可能性があるもの:4人、座ってる(複数の人)
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参加した市民らからは、「こういったことを決めるのは、ここに住んでいない人であるということを強く感じている。モニタリングポストを必要としている住民の意見を言わなければならないと思って参加した。正直なところ、モニタリングポストなどもう見たくはないものでもあり、見なければ事故前のように暮らしていいと思えるかもしれない。風評被害に繋がるのでなくしてしまいたいという考えも分かるような気もするが、でも現実は、(富成は)住居の敷地はほとんどが山で、そこは手つかずの状態。その中でどうやってこの先普通に暮らしていこうかと思った時に、大変なことは今でもある。少なくとも、実際の線量が分かるモニタリングポストを今撤去してほしくはない。いらないと言うのなら、うちの山につけてほしい。実際に住んでいる住民の思いをくみ取ってほしい(富成地区在住)」。
「震災後に移住して来て迷いもあったが、前市長が全面的に除染をすると仰ったので安全だろうと思って来た。しかし、自分の住んでいるところはCエリア(年間被ばく線量が5ミリシーベルトを下回る地域で、伊達市の約70パーセントにあたる範囲がCエリアとされている)で、いまだに除染もされていない。自分で庭の除染はしたが、残っている畑が一番線量が高い。土いじりもしたいが、いまだに線量は毎時3マイクロシーベルトぐらいあって不安な毎日を過ごしている。モニタリングポストなどがなければ、このまま何事もなく暮らしたいとも思うが、そうしてしまうとこれで終わったということになってしまうので、それは悔しいという思いがある。福島に住むということはこういうことなのかなと思いながら悩んで暮らしている。このまま終わったことにはできないなと思っているので、この要請にあるように、はたらきかけをしていただきたい(保原町在住)」。
「福島市で会の代表として市長に要請をしたが、福島市長はモニタリングポストの継続を求めつつも、風評被害払しょくのために2020年度までには撤去したいということも話していた。その発言については母親らからは不信の声があがっている。県外からの目線を気にするということも大事なのかもしれないが、一番に考えなければならないのはそこに住んでいる住民の安心を守ることだと思うので、ぜひ伊達市長にも継続を求めてほしいと思い参加した(福島市在住)」といった声が届けられました。
須田市長はこれらの市民の声を受けて「今回の原子力規制委員会の決定に対しては唐突だと感じている。要請書にもあったように、原発事故はまだ継続中であり市民のみなさんが不安に思っているのも現実。モニタリングポストについては数値が可視化されているということと、今までの数値との比較ができることにより住民は安心しているという面もあると思う。モニタリングポストが撤去されてしまったら雨風などで数値がどうなったのか分からなくなってしまうと思うので、今撤去することは時期尚早だと思っている。国からの直接の話はまだ聞いていないが県や関係自治体と共に撤去しないでほしいということは話していきたい」と話しました。
続けて「モニタリングポストの継続配置を求める市民の会」共同代表からは、「原子力規制委員会への要請に行った際にもお伝えしたが、モニタリングポスト撤去についての根拠は、空間線量が下がり安定してきているからということになっているが、要請書の内容にもある通り、私たちはなにが起こるか分からない状況の中でここに暮らしているので、そういう決定は会議室で決められたようなこと。どんどん決定しないでほしいということを強く求めて来た。規制委員会の方針は住民の暮らしとは全くかけ離れたことなので、市民の声に耳を傾け、市民の立場として強く求め続けていただきたい」ということを伝えました。
また、「天気予報で発表される空間線量の数値はとても低いが、うちはもっと高いと思ってしまう。規制庁などはあれを基準にして見ているのか?実際の居住区域はもっと高線量のところもあるということは伝わっていないのか?」という伊達市民からの質問に対して、職員からは「原子力規制委員会のホームページ上でもモニタリングポストの数値は随時更新されているが、その数値はあくまでもモニタリングポストが設置されているところの空間線量。身の回りの線量が高いという場合は伊達市としては放射能相談センターを設置しているので、そちらにモニタリングを依頼していただければセンターの職員が測りに行き、防護についてのアドバイスをさせてもらうので相談してほしい。ニュースなどで見ている空間線量が身の回りの空間線量と違うという理由については、公表の数値はモニタリングポストの数値であり、設置されている場所は子どもの環境であるため、除染されているから線量が下がっているという部分もある」という説明がされました。
「相談に行った場合、どのような対策が取られるのか」という質問に対して職員は「伊達市では地表面で毎時3マイクロシーベルト以上の部分についてはホットスポット除染を行っている」という回答をしていましたが、国が設けている、地表から1メートルの高さの空間線量が毎時0.23マイクロシーベルト以上という除染の基準に対し、地表面で毎時3マイクロシーベルト以上という独自の基準を設けている伊達市の方針について、要請書の提出後、参加した市民らからは、「新市長に対してはその基準についても見直しを求めていきたい」という声が上がっていました。
市長選と市議選を終え、新体制でのスタートを切った伊達市での要請書の提出でしたが、その場には間に合わなかったものの、市長への申し入れが終わった後、仕事帰りの母親らが伊達市役所に多数駆け付け、1階のロビーで報告会が行われました。
報告を受けた母親らは、「市民の声に寄り添う須田市長の対応を聞き、とても期待が高まっている」「私たちは市民の立場で市長を応援していくので、ぜひ、国に市民の声を届け、私たち住民の安全を守ってほしい」と話していました。
伊達市長宛ての要請書
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