2019年3月14日 東京新聞

モニタリングポスト撤去 福島の母親65%反対

 東京電力福島第一原発事故で、避難区域に隣接する九市町村に住む母親を対象にした意識調査で、二〇二〇年度末までに福島県内の放射線監視装置(モニタリングポスト)の八割を撤去する国の方針に、「反対」「どちらかといえば反対」との回答が計65%に上った。賛成側の中には、設置が続くことによる風評被害の恐れを理由にする意見があり、いずれの立場でも放射線の影響を気に掛ける現状が浮かび上がった。
 原子力規制委員会は「線量が十分に低く安定している」として、同県内の八割に当たる約二千四百台の撤去方針を昨年三月に決めた。
 調査は「福島子ども健康プロジェクト」として、中京大の成元哲(ソンウォンチョル)教授らが一三年から続けている。福島市など同県中通り地方に住み、〇八年度生まれの子を持つ母親にアンケートを郵送。一八年度は九百三十六人に送り、六百四十四件が集まった二月八日時点で途中集計した。
 「反対」「どちらかといえば反対」の回答者に理由(複数回答可)を尋ねると、79%が「線量が分かると安心」、69%が「廃炉作業が終わるまでは何が起こるか分からない」を挙げた。
 撤去方針に「賛成」「どちらかといえば賛成」は合わせて36%。理由(同)は、50%が「線量を気にしていない」を選択したが、15%の人が「線量が高い地域と思われる」と受け止めている結果がでた。
 成教授は「風評被害の心配から撤去に賛成と回答する人もあり、母親たちのもやもやとした心境、複雑な状況が表れている」と指摘している。 (安福晋一郎)
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